心臓を養う血管(冠動脈)が狭小化し心臓の筋肉(心筋)への血液供給が不足することで起こる狭心症に対して、レーザー光線を心筋に照射し細い穴を開けることで狭心発作を軽減させようという新しい心臓外科手術。従来行われてきた薬物療法やカテーテル治療(冠動脈に風船のついたカテーテルを挿入して血管を広げる治療)、冠動脈バイパス手術といった治療が行えない難治性の狭心症への新しい治療法として、1998年夏にはアメリカ食品医薬品局(FDA)から承認されている。97年3月より多施設臨床試験が開始され、98年7月までに71人が本手術を受けた。このうち、冠動脈バイパス手術を併用した48人および本手術単独の13人において術後半年の経過を検討したところ、それぞれ96%、92%の患者において、狭心症の重症度の4段階分類で2段階以上の改善が認められた。しかし開胸だけで心臓に何も処置が行われなかった場合にも、同じくらいの確率で症状の改善が見られたとの報告もあり、その効果を疑問視する声や、心臓全体の機能の悪化や長期予後を危惧する声も上がっており、今後の検討が待たれる。その他、血管新生因子や骨髄間葉細胞を注射することで、心臓の毛細血管や細動脈の増殖を促して治療する血管新生療法も試みられている。