消化性潰瘍は、主に胃・十二指腸に見られる粘膜を含む組織炎症を指す。最近、ヘリコバクター・ピロリという、胃内に生息している細菌が消化性潰瘍の主な成因として最重要視されており、特に、十二指腸潰瘍患者においては、68~100%がピロリ菌の感染を受けている。他に精神的ストレス、薬剤(非ステロイド系消炎鎮痛剤や副腎皮質ステロイド等)も原因となる。また、喫煙、食物(アルコール、コーヒー等)も攻撃因子増強に深くかかわり、生活習慣とも密着した疾患である。治療に関しては、従来は胃酸分泌抑制剤を中心とした薬物療法が用いられてきたが、高い再発率が問題であった。最近、ピロリ菌の除菌が消化性潰瘍の再発防止に有効であることがわかり、現在広く受け入れられている。除菌療法では、プロトンポンプ阻害薬、アモキシシリン、クラリスロマイシンの3剤を同時に1週間投与するのが一般的で、除菌率は75~90%となっている。一方、非潰瘍患者におけるピロリ菌除菌の是非については一定の見解が得られていない。消化性潰瘍に対しての除菌療法は保険適用となっている。