1967年南アフリカのバーナードにより世界最初の心臓移植が行われた。現在、年間約3000例が行われているが、臓器提供者が限られるため、症例数は頭打ちになっている。術後生存率は年々伸び、1年生存率約90%、5年生存率約70%、10年生存率約50%である。患者の大多数は普通の日常生活を送ることができるが、免疫抑制剤の投与が必要とされる。移植の適応は、虚血性心疾患(→「狭心症」)と心筋症が半数ずつである。日本では、97年6月に臓器移植法が成立し、同年10月より施行されたことにより、年間数例の心臓移植が行われるようになっている。人工心臓は、1963年にアメリカで初めて使用された。以降、3000例以上の使用例のうち、使用期間が5年を超えた例はなく、適応は開胸手術後の心不全や心臓移植待機患者の心不全が中心である。しかし最近、免疫抑制療法の必要がない完全埋め込み型人工心臓が海外で臨床応用されるに至り、感染症のリスクが激減したため、現在、人工心臓の問題点である血栓症・感染症を克服した完全永久人工心臓の開発が進められている。