移植療法は末期腎不全に対する治療法の一つである。腎臓移植には、健康な人(親族もしくは夫婦に限られる)から臓器の提供を受ける生体腎移植(腎移植)と、心臓死・脳死した人から提供を受ける献腎移植がある。腎移植希望者は非常に多く、1万人以上登録されており、深刻なドナー不足状態にある。近年、ABO血液型不適合移植や、多臓器移植も行われており、特に糖尿病性腎症では膵腎同時移植(→「膵臓移植」)が選択肢に含まれる。提供臓器の移植先は日本臓器移植ネットワークが血液型、臓器搬送時間、組織適合性抗原、待機日数などを総合的に評価した上で公正、平等に決定する。16歳未満の腎不全は成長に重大な影響をもたらすため、優先的候補とされる。費用は健康保険が適用され、その他に公費補助も受けられることがある。腎移植の成績は、1983年から98年の国内での腎移植5年生着率は生体腎で77.3%、死体腎で62.8%となっている(日本移植学会など調べ)。最近は新しい免疫抑制剤の普及などにより、さらに良好な生着率を得ている。腎移植は透析療法と比べ、患者のQOL、社会復帰、長期的医療費用の面で優れているが、免疫抑制剤の副作用、移植腎の生着率、ドナー不足など克服すべき問題は多い。