白血病の治療法に造血幹細胞移植があり、それには骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血幹細胞移植(CBSCT)が含まれる。CBSCTは、廃棄される臍帯血(へその緒や胎盤に含まれる血液)を冷凍保存し、必要時に移植する方法である。骨髄移植に比べて有利な点は、(1)供血者(ドナー)の負担が少ない、(2)幹細胞の増殖能が高く、少量で移植が可能、(3)凍結保存が可能で必要時すぐに使用可能、(4)移植片対宿主反応病(GVHD)が軽度で、白血球抗原(HLA)が一部不一致でも移植可能なケースが多いなどである。1988年にフランスで行われて以来、近年は日本でも年間約700例が実施されている。骨髄バンクのドナー登録方式ではなく、出産予定の妊産婦から同意に基づいて採取された臍帯血が「日本さい帯血バンクネットワーク」を窓口にして管理されている。