血清尿酸値が7.0ミリグラム/dl以上の状態を高尿酸血症という。血清尿酸値が7.0ミリグラム/dl程度に達すると飽和状態に達し関節液等に析出してくる。これにより引き起こされた関節炎を痛風という。生活習慣病の一種で肥満者に多く、また圧倒的に男性に多く(100対1)、わが国では約50万人の罹患者が存在する。痛風の関節発作は突然激烈に発症し、24時間以内にその極期となり通常一週間以内に寛解する。好発部位は足の親指の関節(50~70%)が多いが高尿酸血症を放置すると発症部位も小関節から大関節に拡大し、皮下組織への尿酸塩の沈着、痛風腎といわれる腎障害、尿路結石等多彩な臨床症状を呈する。痛風の診断は関節液中の尿酸塩結晶か痛風結節が証明されれば確定する。突然発症する母趾基関節を主とする単関節の激痛および、その限局性腫脹とともに血清尿酸値の上昇を認めた場合でも診断される。ただし、発作極期は血清尿酸値がむしろ低下する場合もあり注意を要する。この際、主として大関節に発症しピロリン酸カルシウムの沈着がみられる偽痛風との鑑別を要する。高尿酸血症の治療として、アルコール制限(特にビール)、食事制限、多めの飲水などが行われる。以前は尿酸の前駆物質であるプリン体を多く含む食事を制限していたが、最近では食事量の総量を制限する傾向にある。これで改善しない場合には薬物療法を開始する。高尿酸血症には産生過剰型、排泄低下型があり、病型を鑑別した上で前者には合成阻害剤、後者には排泄促進剤を投与する。血清尿酸値は男性で4.5~6.0ミリグラム/dl、女性で3.2~4.6ミリグラム/dlを目標とする。尿路結石予防には、これに加えて酸性尿改善薬が有効である。また痛風発作の治療は、前兆期にはコルヒチン、極期には非ステロイド性抗炎症薬を使用する。高尿酸血症は虚血性心疾患の危険因子の一つに数えられ、他にも高血圧、耐糖能異常、脂質異常症(高脂血症)などを合併していることが多いため、同時にそれらに対する精査、治療も重要である。