人工心肺の一種。基本的構成は、血液を静脈から体外へ取り出す脱血管、血液を酸素化する人工肺、酸素化された血液を動脈へ戻す送血管と、この間を血液を循環させるポンプからなる。通常、心臓外科手術に用いる人工心肺では、血液を大静脈や心房から直接脱血し、大動脈へ戻すが、PCPSでは、主に大腿静脈より経皮的に挿入した脱血管により右心房付近から脱血し、その血液を動脈に返血する。1983年、フィリップスがその有用性を発表して以来、開胸の必要がなく、一般の人工心肺に比べ、簡便で侵襲が小さいため広く利用されている。PCPSは、心停止後の心肺蘇生術、心臓補助法の一つである大動脈内バルーンパンピングが無効な重篤な急性心筋梗塞、急性心不全、心破裂や心外傷治療時の補助循環手段に用いられる。また重症例の経皮経管冠動脈形成術(PTCA)施行時の補助としても使われる。主な合併症に、出血(最も多い)、臓器不全、末梢動脈塞栓などがあり、本装置の使用は一時的に限られる。