心臓では、右心房にある洞結節で発生した電気的刺激が刺激伝導系という特殊な心筋組織を介して心臓各部へ伝えられ、規則正しい収縮・弛緩が繰り返されている。この正常のリズムを洞調律といい、何らかの原因でこれ以外の刺激生成または伝導により、心臓のリズムが乱されている状態を不整脈という。不整脈には、放置しておいてよいものもある一方、突然死を引き起こす危険なものもあるため、その早期診断は重要である。不整脈により、動悸、胸部不快感・圧迫感、全身倦怠感、ふらつき、ときに失神など様々な症状が出現するが、数多くの不整脈が出現しているにもかかわらず、無自覚である場合も多い。出現頻度の高い不整脈としては、洞性不整脈、心室性・心房性期外収縮、心房細動、1度房室ブロックなどがあるが、これらは一般に予後がよい。一方、頻度は低いが高度房室ブロックや心室頻拍、心室細動などは、いったん起こると突然死につながる可能性が非常に高く、致死性不整脈とよばれている。治療は、不整脈の種類により異なるが、薬物療法、ペースメーカー植え込み療法や、伝導路を高周波にて焼灼するアブレーション療法等の非薬物療法などがある。また、不整脈には他の薬物により誘発されるものもあるので、可能性のある薬物の中止もときには必要となる。予防には、不整脈の誘因となるカフェイン、喫煙、飲酒などの嗜好品を減らし、過度の運動、過労、睡眠不足を避けることが役立つ。