2014年4月、日本人間ドック学会と健康保険組合連合会が発表した「新たな健診の基本検査の男女別・年齢別基準範囲」のこと。13年度に人間ドックを受診した、約150万人のデータから数値が策定されている。例えば、収縮期血圧の正常値は、従来の130未満から新基準範囲では88~147mmHgとなった。中性脂肪値は、従来の30~149mg/dLから男性が39~198mg/dLとなった。これらは基準値を大幅に緩和したようにも見え、マスメディアが「健康基準を広げる」「男性の中性脂肪が高くても健康」などと報じたため、混乱を生じることになった。各専門学会がガイドラインや診断基準に用いる基準値は、疾患の診断、治療、予防の判定のための「予防医学的閾(いき)値(臨床判断値)」であり、健常者の約95%が当てはまる値として定められた「基準範囲」とは意味するところが異なる。日本人間ドック学会は「今回の値で基準範囲内になったからといって、治療を受けなくてもよい、薬を中止してもよいというわけではない」と説明している。同学会が16年4月に改定する「判定区分」では、この新基準範囲は採用していない。