特に症状がなくても医学的な診察や検査を行い、健康状態を把握したり、病気の早期発見をすることを健康診断と呼ぶが、多様な病気の早期発見や予備軍を見つけて生活改善を図る健康診断のパッケージを人間ドックと呼ぶ。人間ドックという言葉は和製英語であるので、一般には英語圏では通じない。人生を航海に例えて、船の修理工場をドックと呼ぶことに由来している。人間ドックの始まりは1954年で、最初は「短期入院精密総合身体検査」と呼ばれていた。現在の人間ドックの目的は、がんなどを主な対象に、早期発見し早期治療をすると治癒や延命効果が期待される病気を、自覚症状の出る前に発見することと、糖尿病や脂質異常症(高脂血症)、高血圧症など生活習慣と深く結びついている病気の予備軍であるかどうかを早期に発見し、予防医学的行動をとるように推奨することである。人間ドックは保険が適用されず、自費で負担する必要がある。99年に人間ドック認定指定医制度が発足し、99年8月26日の人間ドック学会でこれに基づく第1回の認定が行われ、人間ドックの質向上のための役割が期待された。