国立がん研究センターが作成した「個人が10年間で胃癌(がん)に罹患(りかん)する確率を予測するモデル」のこと。胃がん発症に関係すると考えられているヘリコバクター・ピロリ菌(Hp)の感染、萎縮性胃炎(AG)の有無、喫煙の有無、胃がんの家族歴の有無、高塩分食品摂取の有無をもとに予測モデルを構築。約1万9000人を16年間追跡し、その結果を用いて分析した。最も低リスク群(Hp陰性、AG無、喫煙無、家族歴無、高塩分食無)に該当する40歳男性と、最も高リスク群(Hp陽性、AG有、喫煙有、家族歴有、高塩分食有)に該当する70歳男性とでは、罹患率に約350倍以上の差があった。同様条件の女性比較では、罹患率に約160倍以上の差を認めた。また、個人における10年間の胃がん罹患確率を算出できるよう、年齢や胃がんの家族歴、ABC分類(Hp感染とAGの有無を用いたリスク分類)を簡易スコア化した方法も考案されている。今後は、リスクの低い群(Hp陰性、AG無)に対する検診のあり方などに検討を要する一方で、リスクの高い群については生活習慣を見直し、定期的な検診を受けるなど予防行動・保健行動を心がける必要があると考えられている。