ES細胞はiPS細胞(人工多能性幹細胞)と同様に神経や筋肉、血球細胞など全ての組織に分化する能力を持つ万能細胞。ただし、体細胞から作られるiPS細胞と異なり、ES細胞は受精卵から作成されるため、倫理面の課題から各国では利用を基礎研究に限るなどの制限がある。日本では2014年に国の指針が改正され、臨床研究にも使えるようになった。それを受けて、17年に京都大学の研究チームが医療用のES細胞の作成計画を申請し、文部科学省は大筋で了承し、厚生労働省の審査委員会もこの計画を了承した。この計画では不妊治療で余った受精卵の提供を受け、10年間に約20種類のES細胞の細胞株を作ることが目標。今後は研究機関に提供され、実臨床での治療に使用される研究や医薬品の開発などに役立てることが期待される。