一般的には35歳以上の高年齢で出産した場合をいう。全出生数は減少しているにもかかわらず、女性の社会的進出や家族計画の普及、また晩婚化に伴い、高齢出産は増えている。35歳以上の母親からの出生数は、1980年の6万6296人から、2006年には3倍近くの19万2914人になった。高年齢で初めて妊娠した女性を高年初妊婦(elderly primigravida)といい、若い年代の妊娠に比べて流産、早産や妊娠高血圧症候群、前置胎盤などを起こす割合が高い。分娩の場合には高年初産婦(elderly primipara)といい、難産の傾向やダウン症候群児を出産する割合が比較的高い。しかし、これらは医療管理を十分にしていれば、多くの場合、問題はない。高齢出産の母親は、母乳栄養率が低い傾向があり、また行動力が減退するためか、乳児の運動発達がやや遅めである。しかし、人生経験や知識は豊富にあり、子育てを冷静に見つめられるためか、親子関係は良好になりやすい。親子の大きな年齢差に対して不安を与えない周囲の配慮が大切である。