厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師調査」によれば、産科医は1994年の1万1391人から、2006年には1万74人に減少した。男女別にみると、女性50%増、男性20%減であり、若い女性産科医の割合の増加が顕著である。しかし、日本産科婦人科学会の06年実態調査によれば、全国で出産できる病院数は1280施設、有床診療所数は1783施設の合計3063施設であり、産科医師数は7985人で04年時における厚生労働省調査の約4分の3であった。過酷な勤務や訴訟の多い産科を敬遠し、婦人科や不妊治療を専門にする医師の増加や、比較的多くを占める女性医師が出産などを機に一線から退いてしまうことなどが原因とみられている。医師を特定の施設に集約することによって、必要最小限の医師数で医療内容を向上させることや、また、病院助産師の役割も期待したい。さらに近所に産科が無くなることによる「お産難民」防止の意味では、出産のための宿泊施設の整備、さらには道路整備なども関連課題となる。