医療施設での出産を希望しながらも、希望する地域に適当な出産施設がない、あるいは施設があっても分娩予約が一杯で受け付けてもらえない妊婦。境遇を行き場を失った難民になぞらえ、お産難民あるいは出産難民とも呼ばれる。労働条件の厳しさと医療訴訟のリスクの高さにより、産科医を志す人材が減少し続けていることと、それに伴い分娩を取り扱う病院が全国的に減少していることが主な原因である。2007年の厚生労働省「医療施設調査」では、産科・婦人科を診療科として掲げる病院数は1990年から17年連続で減少しており、1344施設となり、90年と比べて、4割減少した。分娩施設の集約化、産科医の地方への誘致、助産師の活用(院内助産所)などを試みてはいるものの、決め手になれず、2009年から産科医療補償制度の導入、医学部定員増、NICUと高リスク病床の拡充、産科医や小児科医育成を促す費用の計上などの対策に取り組んでいる。