子どもの健康と環境に関する全国調査。「エコチル」とは、エコロジー(生態学)とチルドレン(子ども)を組み合わせた造語である。今後、日本では全国約10万人の妊婦が参加し、胎児期・乳幼児期の環境曝露が子どもに、どのような疾患などを引き起こすか解明する予定である。子どもが母親の胎内にいる時から13歳に達するまで、定期的に健康状態を確認し、環境要因が子どもの発育・発達にどのような影響を与えるのか環境省が実施、明らかにしていく。ことに胎児は、成人よりも低い濃度の環境化学物質の暴露で、成人より大きい障害を受ける可能性があり、その危険性の正しい評価は急務である。この調査研究の背景は、近年、子どもの感染症以外の疾患などが急激に上昇していることである。例えば、出生体重2500グラム未満の低出生体重児は年々増加し、2008年に女児では10.8%になった。また、ぜんそくなどアレルギー疾患も上昇の一途をたどっている。こうした急激な変化は、遺伝要因では説明できないので、環境要因との関連が考えられる。そこで、日本の子どものみでなく、世界中で調査することになっている。