妊婦を対象に、血液中のHTLV-1 (human T-cell leukemia virus type I)ウイルス抗体を公費負担で調べる検査。2010年、妊婦健康診査の検査項目に追加された。HTLV-1は成人T細胞白血病(ATL ; adult T cell leukemia)の原因ウイルスで、ほかにHTLV-I関連脊髄症(HAM)などの関連疾患を引き起こすこともある。感染してから、約50年後に約5%の感染者がATLを発症し、また数年後に0.3%の感染者がHAMを発症するが、どちらも有効な治療法はない。HTLV-1 の主な感染経路は、母乳を通じた感染が6割で、次いで性行為による男性から女性への感染。現在は検査があるため、輸血による感染はない。キスや唾液を介してうつる心配もない。感染者は九州・沖縄を中心に、全国で約108 万人である。感染した妊婦(キャリアともいう)の授乳は、生後3カ月以内の短期間の母乳、凍結母乳、あるいは人工乳として、その子どもが2~3歳になってから血液検査を受けることがすすめられている。この検査にともなう、カウンセリング体制作りが急務である。