コンドームや低用量ピルと異なり、性行為後に行う避妊のこと。事後緊急避妊、事後避妊ともいう。緊急避妊薬や子宮内避妊器具(IUD)が主流で、体内ホルモンのレベルを変化させる、排卵を遅らせる、受精や着床を防ぐなどの方法がある。世界保健機関(WHO)は、無防備な性行為による望まない妊娠を避けるため、5日以内に限定的な緊急避妊法を行うようすすめている。薬剤では、1970年代からホルモン剤を性行為後2回、間隔をおいて服用するヤッペ法(緊急避難避妊法)が広がり、2000年ころからは緊急避妊だけを目的とした、緊急避妊薬やモーニングアフターピルが海外で普及している。10年12月、日本においてもレボノルゲストレル(商品名「ノルレボ錠」)が、緊急避妊薬として初めて承認された。それまでは医師が一切の責任を負って、中用量ピルを処方していた。ノルレボ錠は性交後72時間以内に服用し、妊娠を80%程度抑える効果があるとされている。時には悪心(おしん)・嘔吐(おうと)などの副作用がみられるが、中用量ピルよりも安全性が確認されている。子宮内避妊器具を使用する場合は、性交後5日以内に銅付加IUDを子宮内に挿入する。効果は100%ではなく、下腹痛や出血量が多いのが見られる。また、その後もずっと入れておける場合は、長期間の避妊もできる。どちらの緊急避妊法も医師の処方が必要で、性感染症は防げない。