受胎~生後4週間以内に生じた脳の非進行性病変に基づく、永続的な、しかし変化しうる運動および姿勢の異常。その症状は、満2歳までに発現する。脳病変が広範囲であれば、てんかん、知的障害、その他の機能障害も呈するが、それらは分類上、脳性まひと並列される。しかし、進行性疾患や一過性の運動障害、または将来正常化するであろう運動発達遅滞は除外する。脳病変の原因が明らかな場合も、それによる診断名をつけ、脳性まひとはしない。発生率は出生1000に対し、1~2くらいである。半分以上を占める重複障害児では、嚥下障害、呼吸障害、脊柱の変形を伴いやすく、気道感染症の頻度が高い。新生児は、医療機関で生後半年頃まで経過観察後、肢体不自由児施設などに紹介されることが多い。その後、治療、療育、リハビリテ-ションなど、発達の援助を行いながら経過観察する。日本医療機能評価機構が実施する産科医療補償制度では、(1)通常の妊娠、分娩にもかかわらず分娩に関連して重度脳性まひとなった赤ちゃんへの速やかな補償、(2)重度脳性まひの発症原因の分析、を行っている。再発防止に役立つことが期待されている。