生まれつきのアミノ酸代謝異常やアレルギーなどにより、母乳や市販の粉ミルクを飲めない赤ちゃんのための栄養補給、治療用ミルクのことを指す。治療対象となる疾患に合わせて、栄養素の一部を減少、除去、変更、場合によっては分解して作られている。日本における特殊ミルクは、(1)医薬品目、(2)登録品目(登録特殊ミルク)、(3)登録外品目、(4)市販品目の4種類に分類され、それぞれ費用や入手方法が異なる。小児慢性特定疾患治療研究事業により、一部無料の医薬品目は、20歳まで処方されるが、20歳を過ぎたら健康保険扱いになる。新生児マス・スクリーニングの対象疾患を含む、先天性代謝異常症の治療に必要な登録特殊ミルクは、国の助成対象である。登録外品目は、乳業会社が費用を負担し、主にアレルギー、心・腎疾患の患者などが利用できる。市販品目は、主に消化器疾患児の栄養補給向けである。1981年、安定供給を目的に「特殊ミルク共同安全開発事業」が発足し、恩賜財団母子愛育会に設置された事務局、医療機関、乳業業者の3者協力のもとで事業が進められている。