肩関節で何かが挟み込まれたような状態になって、肩の痛みや運動制限が生じるスポーツ障害。インピンジメントは、「挟み込み」という意味である。技術的に未熟な、若い選手にみられる。野球、テニス、水泳、バレーボール、バドミントン、ゴルフといった、腕を上げる動作を繰り返し、反復的に肩に負荷がかかるスポーツに多い。ボールを投げる、打つ、水をかくなど、肩を90度以上横に上げた状態で、腕を後方から前方にひねる動作を繰り返すと、上腕骨頭が前方に押し出され、烏口肩峰靭帯(うこうけんぽうじんたい)、肩峰、烏口突起で形成されている鳥口肩峰ア-チとぶつかり合う。その結果、肩峰下滑液包や上腕二頭筋腱の炎症、棘上(きょくじょう)筋の損傷が起きて痛みを生じる。投げ込みや打ち込みによる慢性的な筋疲労、投球フォームやスイングの乱れ、コンディション不良などが引き金になる。重症になると、夜間も痛みが続く。長期間放置していると、レントゲン検査で肩峰や上腕骨頭に骨変形がみられることもある。治療は、痛みを感じる動作を避けることが基本であるが、外来では温熱療法、ヒアルロン酸や副腎皮質ステロイド薬の局所注射を行う。運動前後のウオーミングアップとクールダウンが予防になるが、普段は肩を冷やさないようにするのも大切である。筋力トレーニングで前鋸(ぜんきょ)筋を鍛え、肩甲骨を動かすように腕を使うことで、肩への負担を少なくする。痛みや熱感がある時は、アイシングをするとよい。