カロリー過剰摂取で体脂肪が増大した肥満は、メタボリックシンドロームの温床になりやすく、動脈硬化を進行させ、心疾患や脳血管障害を引き起こす危険性も高い。対策の基本は食事療法と運動療法だが、漢方薬には肥満症に用いられるものがある。例えば、便秘をともない、動悸、肩こり、のぼせといった高血圧の随伴症状がある肥満症には、防風通聖散(ぼうふうつしょうさん)などが使用される。この薬は、脂肪組織を構成する細胞のうち、中性脂肪を体内にため込む白色脂肪細胞を減らし、余分なカロリーを体から追い出す褐色(かっしょく)脂肪細胞の働きを高める効果が、最近の研究で認められている。ただし、肝機能障害などの副作用が見られることがあり、また、便秘がない人や胃腸が弱い人が服用すると、下痢、悪心、胃部不快感などの症状が出現するため、漢方に詳しい医師に相談して服用することが望まれる。