漢方薬は、生薬を単一ではなく組み合わせて作られていることが一般的である。複数の生薬が配合されることにより、多彩な薬効や効果の増強、また、副作用が抑えられる効果がある。例えば、「麻黄湯(まおうとう)」は、杏仁(きょうにん)、麻黄、桂枝(けいし)、甘草(かんぞう)で構成され、感冒、関節リウマチ、ぜんそく、哺乳困難など適応範囲が広い。また、漢方薬は、同じ生薬構成でも、分量が異なると、効能も変化する特徴がある。例えば、「桂枝湯(けいしとう)」と「桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)」は、桂枝、芍薬(しゃくやく)、甘草、生姜(しょうきょう)、大棗(たいそう)で構成されているが、配合量の違いにより、前者は感冒に、後者は腹痛や便通異常に用いる。このように、漢方薬は、その構成生薬の種類のみならず分量比も重要である。なお、漢方薬の形態には、煎薬(せんやく)、散薬(さんやく)、丸薬(がんやく)、料(りょう)などがある。「煎薬」は、生薬を煎じて、主に熱に安定で水溶性の成分を利用するものであり、速やかな効果が期待できる。現在は、生薬を煎じた液を濃縮、乾燥させ、顆粒または細粒にした「エキス製剤」が普及している。「散薬」は、生薬を粉状にしたもので、油性成分あるいは熱に不安定な成分をも利用できる。「丸薬」は散薬と似ているが、蜂蜜などで丸い錠剤とすることにより、持続的な効果発現を期待している。「料」は、本来、散薬や丸薬の剤型のものを煎薬の形で使用する時のいい方で、「○○散料」、「○○丸料」と呼ぶ。そのほかに外用薬もある。