加齢により動脈硬化が進むと、血圧は変動しやすくなる。漢方薬の降圧効果は西洋薬ほど強くないが、血圧を緩やかに下げるだけでなく、肩こり、頭痛など、高血圧にともなう症状を緩和できる。例えば、肩こり、めまい、画像診断で異常のない朝の頭痛には、釣藤散(ちょうとうさん)などが用いられる。冷え症がある時は七物降下湯(しちもつこうかとう)、のぼせが著しい時は黄連解毒湯(おうれんげどくとう)などが使用される。八味地黄丸(はちみじおうがん)は、血圧の調整という観点から低血圧にも使用され、耳鳴り、腰痛、夜間頻尿など、加齢にともなう症状がある場合に有効である。また、ストレスによって、自律神経の働きが乱れても血圧は変動する。交感神経が強く働くことで血管が収縮し、血圧が高くなる。このような、西洋薬の降圧剤だけでは血圧のコントロールがつきにくい場合には、ストレスによって働きが悪くなった気(き)のめぐりをよくさせる柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)などを併用するのがよい。