ニキビ(尋常性ざ瘡)は、主に思春期に皮脂分泌が増えることによって起こる、炎症性の皮膚疾患。思春期を過ぎると、軽快することが多い。ただし、月経周期やストレス、胃腸機能なども発症と関連があるため、大人になってからのニキビの原因は複雑である。そのため、漢方ではニキビにともなう症状や徴候も大切な情報となる。たとえば、月経前にフェースラインにニキビができやすく、月経痛などをともなう場合は、桂枝茯苓丸加ヨク苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)などを用いる。ヨク苡仁はハトムギであり、膿を排出したり、肌荒れを改善する効果がある。ストレスが強く、肩こりなどもあり、ほおを中心にニキビができる人には加味逍遙散(かみしょうようさん)などを使用する。食べ過ぎで口の周囲にニキビができてしまった場合には、半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)などで胃腸の働きを調節することが大切になる。さらに、足の冷えや便秘もニキビの増悪因子となるため、血行をよくしたり、便通を整えることもあわせて行う必要がある。