勃起不全(ED)は、男性の性機能障害の一つ。加齢とともに起こりやすくなるほか、糖尿病など身体的な原因、ストレスなどの精神的な原因によることもある。漢方では、性機能の衰えは先天の気(き ; 生命活動を営むエネルギー)を蓄えている、腎(じん)の働きと関係があると考える。腎は五臓の一つで、漢方では、いわゆる腎臓機能(心臓から送られてくる血液から塩分や老廃物をろ過し、尿として排泄する機能)のほか、体温調節、水分代謝、生殖機能、歯、骨、呼吸などにも関わるとされる。泌尿器系や内分泌系にかかわる腎は、加齢とともに働きが衰える。それを補うには、地黄(じおう)や、山薬(さんやく ; 山芋)が含まれる八味地黄丸(はちみじおうがん)などが有名である。また、ストレスの影響が大きく、睡眠障害や抑うつ気分もともなう場合は、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)などを用いる。