ほてりは熱感とも表現され、全身性の場合は、発熱極期から解熱期に自覚される。局所性のほてりは、皮膚の発赤や末梢血管拡張、アレルギー反応などによって生じる。更年期障害では、女性ホルモンの減少に伴う血管運動神経の失調により、ほてりの症状が出現する。万一、知覚異常が疑われる場合は、脱力などの運動障害がないかなど、神経内科疾患の有無を確認する必要がある。ほてりを感じても、実際にはその部位に熱感がなく、逆に冷えている場合もあるため、触診することも大切である。漢方医学では、寒熱(病態把握法の一つ)の熱証で見られやすい。実熱では、暑がり、顔面紅潮、熱感、発汗、口渇多飲、濃尿など、体の炎症を反映した所見が認められ、清熱薬を含む黄連解毒湯(おうれんげどくとう)や白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)などが用いられる。虚熱では、頬の赤み、手足のほてり、寝汗、口渇少飲、乾燥症状などを認め、慢性消耗性疾患に伴うほてりと解釈される。この場合は、八味地黄丸(はちみじおうがん)、小建中湯(しょうけんちゅうとう)、清暑益気湯(せいしょえっきとう)など、体力を補う処方がなされる。足が冷えている場合も、ほてりを訴えることがある。漢方医学では、ほてりと冷えは紙一重、と考えられている。八味地黄丸は、日中は手足が冷えるのに、夜間にはほてるといった、両方の症状を訴える場合にも使用される。