体力や新陳代謝が低下した、冷え症の人に用いられる処方。漢方医学的には体全体が冷えて、リンパ液や汗などの体液を意味する水(すい)のめぐりが悪くなった状態に使用される。構成生薬は、茯苓(ぶくりょう)、芍薬(しゃくやく)、朮(じゅつ)、生姜(しょうきょう)、附子(ぶし)である。附子はトリカブトを無毒加工したものであり、体を温めて新陳代謝を高める効果や、鎮痛効果や強心作用なども認められている。全身倦怠感(けんたいかん)が強く、手足の冷え、低体温、慢性下痢、めまい・身体動揺感、動悸(どうき)などの症状を訴える人に有効である。特に、早朝に水様性の下痢が見られる時には、よい適応となる。慢性下痢症、過敏性腸症候群、慢性胃炎、胃下垂、低血圧症、皮膚掻痒症(そうようしょう)などに応用される。附子が含まれるので、舌のしびれ、心悸(しんき)亢進、のぼせなど副作用に注意する必要がある。