日本国内でのIPバージョン6普及にあたって課題となるのが、NTT東日本およびNTT西日本によるNGN(次世代ネットワーク)網の利用である。NTT東日本/西日本は、家庭やオフィスへの光ファイバー接続において75%ほどの高いシェアを持っているが、「日本電信電話株式会社等に関する法律(NTT法)」の制約から、全国サービスつまりインターネットプロバイダーサービスを実施することができない。しかし、IP電話やフレッツ・テレビ等のサービスを効果的に実現するため、NTT東日本/西日本のNGN網はIPバージョン6技術を用いて構築されてきた。このような経緯から、法律的に相互接続できないIPバージョン6網を活用して、各インターネットプロバイダーは、グローバルなIPバージョン6網への接続性を実現しなければならない状況にある。
こうした状況を解決するためにさまざまな議論が進められ、現在二つの方式が採用されている。一つの方式は、ネイティブ方式またはIPoE(IP over Ethernet)方式と呼ばれ、NGN網とプロバイダーのIPバージョン6網を直接接続する方式である。この方式では、NGN網内の負荷の制約から現在のところ3社を利用の上限としており、指定事業者としてBBIX、日本ネットワークイネイブラー、インターネットマルチフィードが選ばれている。
もう一つは、トンネル方式またはPPPoE(Point-to-Point Protocol over Ethernet)方式と呼ぶ方式で、NGN網を単にIPバージョン6パケットを配送する仮想的なケーブルとする方式である。実現のためにはプロバイダー側と家庭やオフィス側にそれぞれ接続アダプターが必要であるが、前述のような制約はなく、多くのプロバイダーがこの方式によってIPバージョン6接続サービスを提供している。