国際電気通信連合(ITU)において議論される、国際的な電話網における規制を定めた通信の国際規則。1988年にITUが開催したWorld Administrative Telegraph and Telephone Conference(WATTC-88)において制定されて以来、これまで改訂されてきていない。しかし、2012年12月に開催されたWorld Congress on Information and Communication Technologies(WICT 2012)において、従来は電話網のみを対象としていたITRsを、インターネットへ拡張するか否かという議論が行われた。セキュリティー対策やSPAM対策など、ITUがインターネットへの取り組みを強化し、ITUの権限の範囲内でインターネットに関わる技術や発展、および公共政策に関する各国の立場を形成することについて議論が進められた。この改正案に対して、アメリカ、EU諸国、カナダ、オーストラリア、日本などの国が、採択された改正案および決議が、インターネットのコンテンツ規制や検閲、遮断等の規制強化につながりかねないとして、署名しなかった。結果として、89カ国が署名、アメリカ、カナダ、日本など55カ国は署名していない。国によるインターネットの管理の是非が問われており、今後が注目される。