ネットワークを論理的に分割、多重化するためのプロトコル(通信規約)。従来、ネットワークのレイヤー2(通信機能を七つの階層構造で表現した「OSI参照モデル」の第2層。データリンク層)において、複数の組織でIT資源を共有する「マルチテナント化」を図るには、VLAN(Virtual LAN、IEEE802.1Q)技術を利用するのが一般的であった。しかし、サーバーの仮想化技術の発展などによって様々なシステムのマルチテナント化が進むと、管理できる論理ネットワーク数をVLANがサポートする4096個を超えて作成したいという要請や、複数拠点を横断する単一の論理ネットワークを作成したいという要請が高まることとなった。
VXLANはこのような要請を実現するために考案された規格である。まず、論理ネットワークの識別子として24ビットのVNI(VXLAN network identifier)を利用することで、理論上は1600万個を超える論理ネットワークを管理することが可能となった。また、ネットワーク上またはハイパーバイザー(仮想化のためのソフトウエア)上に設置されたトンネル終端ポイント(VXLAN tunnel end point ; VTEP)が、レイヤー2の通信をレイヤー3(「OSI参照モデル」の第3層。ネットワーク層)でトンネリング(仮想的な回線でつなぐこと)することにより、一斉に同報通信を行うブロードキャストドメインの範囲を遠隔地まで延長することができる。
VXLANの技術仕様は、2014年8月にRFC7348として公開された。(RFCは「インターネットに関する技術文書」)