人工知能における最大の難問の一つ。「他人に迷惑をかけるな」という説教のせりふがある。このせりふが、説教をする人にとって意味をもつのは、どこまで迷惑が及ぶかの範囲がその人にとってあらかじめ限定されているからである。この場合の迷惑とは、「人を傷つけること」とか「人にうそをつくこと」とかのように、明らかな迷惑を指している。これをコンピューターに理解させるとなると、迷惑の範囲について定義しなければならなくなる。極端にいえば、息をすることや自分の存在自体が他人の迷惑かもしれない。しかしそこまで迷惑の範囲を広げると、迷惑の範囲は無限に広がる。ところがこのことを、コンピューターには言ってやらないとわからない。これがフレーム問題である。コンピューターにはこのフレーム問題を完璧に解けない。人間もときによってはフレーム問題が解けずに悩むことがある。