システムの上位レベルに備わっていなかった機能が明示的な指定なしに下位レベルから発現すること。AL(人工生命)および最近のAI(人工知能)におけるかぎとなる概念である。ALでは、システムの表に現れる上位レベルの現象は下位レベルから創発されると見なす。たとえばアリの集団の秩序だった行列は個々のアリの行動から創発される。どのアリも全体のことは関知していないが、全体としては秩序は保たれている。またALではシステムに対する正解や目的を明示的に与えることはせず、集団として進化する中で非明示的に正解や目的がボトムアップ的に創発されると見なすのである。もちろん無から有は生じないので、非明示的な指定はシステム自体を含めた環境の中に存在することになる。