囚人のジレンマとはゲーム理論の分野で有名なゲームである。別々の独房に入れられた共犯の2人の囚人が、「ともに自白したらともに1点」、「相手だけ自白して自分が白をきれば相手は5点で自分は0点」、「ともに白を通しきればともに3点」を得るという条件でどう振る舞うのが最適かを考える。相手が裏切るとわかっていれば自分も裏切る方が得られる点は高いが、実は2人とも裏切らない戦略が最適であることからジレンマに陥る。これを2人の間で何回も繰り返すのが「繰り返し囚人のジレンマ・ゲーム」で、マルチエージェントシステムにおける協調の仕組みを考えるよい例題となっている。しっぺがえし戦略(自分からは裏切らない、相手の裏切りには即座に報復する、報復は一度しかしない)が有効と考えられていたが、その後必ずしもこの戦略が最強ではないことが判明している。