人工知能(AI)研究の対象として伝統的にしばしば取り上げられてきた。現実世界はあまりに複雑過ぎてコンピューターで扱うのは難しいので、テーブルの上に置いてある直方体、三角柱、円錐などの積木から成る世界を対象として研究を行ってきた。この世界を称して積木の世界と呼ぶ。自然言語理解、画像理解、機械学習などの中心的な例題であった。人工知能は積木の世界という非現実的で実用性のない対象を相手に遊んでいるだけであったという非難をされることもあるが、積木の世界ですら本当は非常に奥が深く、現在でもコンピューターは人間のように積木遊びをすることはできない。むしろ、積木の世界の方が下手な現実世界よりもはるかに複雑なのである。コンピューターはおとなのチェスの世界チャンピオンの能力をまねするほうが、5歳の子どもの積木遊びをまねするよりはるかに楽である。