人間の知能は記号として表現された知識を操作することで実現されていると考える立場。あるいは、コンピューター上に知識を記号として表現し、それを操作することで人間のような知能が人工的に実現できると考える立場。人工知能(AI)はその創始期からずっと記号主義の下に研究が進められてきた。その後1980年代も後半になってAIの方法論の見直しが叫ばれる中で記号主義に疑問が投げかけられるようになってきた。いかなる知識も記号として明示的に表現できるかどうかは確かに疑わしい。暗黙値として知られているような知識、たとえばどうすれば自転車に乗れるかという知識は微妙なニュアンスまで含めて記号として表すのは不可能である。知識を記号として表現しようという作業の中で知識の定式化・定量化が進むという利点はあるものの、記号主義の利点と限界をしっかり見極めた上でAI研究を進める必要があろう。