「村人チーム」と村人に化けたオオカミの「人狼チーム」に分かれて、対話によって勝敗を競う「人狼(じんろう)」という心理ゲームを使った人工知能のプロジェクト。「人狼」では、村人チームは誰が人狼かを探り、人狼チームは正体がばれないようにうそをつくという心理的駆け引きが行われる。将棋や囲碁など二人で戦う完全情報ゲーム(互いの手の内が完全にわかっているゲーム)は人工知能が十分に強くなったので、人間は勝てなくなりつつある。次の焦点として、多人数で戦うためより実社会に近い不完全情報ゲーム(限られた情報で駆け引きをするゲーム)である「人狼」が研究の題材として取り上げられるようになった。「人狼」は相手のうそをどう見破るか、どううまく相手にうそをつくかが重要になるゲームなので、人工知能がうまく「人狼」をプレーできるようになると、人間と人工知能との潤滑なコミュニケーションの実現に近づくと期待される。