放射線に被曝すると、被曝部位、被曝量に応じてさまざまな影響が現れる。そのうち、被曝した個人に影響が現れるものを身体的影響(somatic effect)と呼び、子孫に影響が現れるものを遺伝的影響(genetic effect)と呼ぶ。身体的な影響には確定的影響(deterministic effect)と確率的影響(stochastic effect)がある。前者はしきい値(threshold)と呼ばれる線量以上に被曝して初めて影響が現れ、皮膚の火傷、嘔吐、造血器障害、被曝死などがある。その多くは急性障害(acute injury)と呼ばれ、被曝直後から影響が現れる。確率的影響にはがんや白血病などがあり、遺伝的影響と同様に被曝線量がどんなに低くても影響が現れる。この場合、影響の現れる確率は被曝量に比例すると考えられている。長い年月を経て影響が現れるため、晩発性障害(late injury)とも呼ばれる。障害の発生頻度は細胞分裂の活発さに依存するため、年齢が低いほど危険度が高くなる。