1985年の米ソ首脳会談で構想され、その後、欧州連合(EU)、日本も加わった四極共同で建設計画が進められてきた次世代のトカマク型核融合試験炉(→「トカマク」)。本体だけで1兆円を超す費用が必要となり、アメリカは計画から撤退。性能を落とした設計に変更され、現在計画中のものは熱出力50万kWで発電実証も外れている。正確にはコンパクトITER(Compact ITER)という。プラズマを400秒間閉じ込めることを目標にしている。本体5000億円、立地・解体の諸費用も含めれば1兆7000億円の資金が必要と見積もられているが、実際にはさらなる費用が必要となろう。ブッシュ政権下でアメリカが部分的に計画に復帰、中国と韓国、インドも計画に参加して七極となった。2005年6月に建設地がフランスのカダラッシュに決まり、建設が始まっている。誘致合戦に敗れた日本は、基礎研究を構築するとの名目で、建設予定地としていた青森県六ヶ所村に超伝導トカマク試験装置JT-60SA(JT-60 Super Advanced)を作ろうと計画している。その後、アメリカがイラク戦争などのために資金調達ができなくなって、一時期撤退。現在は、アメリカ、ロシア、中国、インド、韓国、日本の6カ国とEUが計画に参加している。当初08年の完成を目標としていたが、稼働予定は16年から18年へ、さらに20年代後半へと延期されてきた。おそらくは、今後もさらなる後退が余儀なくされる。しかし、ITER機構長が20年の完成も難しいとの見解を表明せざるを得なくなり、完成の見通しは暗い。