ロシアの火星探査機。火星の衛星フォボスの表面から土壌サンプルを採取し、地球に持ち帰ることを目的としている。打ち上げ時重量は火星に向かうエンジン段込みで13.5トンもある大型探査機である。ロシアと中国は、フォボス・グルントに中国の観測機器を搭載することで合意しており、フォボスの土壌採取には中国の香港理工大学が開発した採取機構を使用する。同探査機には、ESA(欧州宇宙機関)も観測機器を搭載。また中国初の小型火星探査機「蛍火1号」も搭載され、火星周回軌道で分離する予定だった。
2009年10月に打ち上げを予定していたが、09年9月、ロシアは探査機開発の遅延を理由に、打ち上げを11年に延期した。その後、11年11月9日に、バイコヌール宇宙基地からゼニットロケットで打ち上げられたが、火星に向かうロケット噴射に失敗。地球周回軌道にとどまった探査機は12年1月15日に太平洋に落下した。ロシアの火星探査機は1996年の「マルス96」に続き2回連続の失敗となった。