NASA(アメリカ航空宇宙局)が開発した月探査機。NASAの低コスト探査機シリーズディスカバリーの一つ(→「アメリカの無人太陽系探査計画」)。「GRAIL A」「GRAIL B」の2基の探査機から構成され、月面上50キロの低い高度で月を周回させ、その軌道を計測することで、月の重力の場所による違いを精密に観測する。観測結果からは月の内部構造に関する情報が得られることが期待されている。また、月の重力に関するデータは、将来の有人月探査における月周回軌道の設計にも不可欠である。2011年9月30日に2基まとめて打ち上げられ、11年12月31日にAが、12年1月1日にBが、それぞれ月周回軌道に投入された。12年12月18日、1年の探査を終えて推進剤残量が少なくなったため、A、B共に月面に計画的に落下させて運用を終了した。