超低高度で地球を周回する衛星で、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が2017年度の打ち上げを目指して開発している。350キログラム級の小型衛星で、低コスト開発と早期の打ち上げを狙っている。国際的に高度100キロメートル以上を宇宙空間と呼ぶと定義されているが、100キロメートル以上の高度でも希薄な大気が存在し、空気抵抗により衛星は徐々に落下する。特に200キロメートル以下では、急速に高度が下がるので、その高さで継続的に地球を周回する軌道にとどまることは困難である。SLATSは、(1)空気抵抗を受けにくい衛星形状を採用、(2)低推力・高燃費のイオンエンジンで衛星を推進、という2つの手法で衛星高度の低下を防ぎ、高度200キロメートル以下の軌道で、継続的に地球を周回する技術を実証することを目的としている。地表が近くなるので、より高い軌道よりも高精細な地球観測データを取得することができる。一例として、高度490キロメートルの軌道を飛ぶ第一世代の情報収集衛星(IGS)の光学センサーは、1メートルの物体を識別することができる。これを高度200キロメートルにまで下げると、同じセンサーで40センチ程度の物体まで識別することが可能になる。