三菱航空機が開発を行っている国産の地域ジェット旅客機。MRJはミツビシ・リージョナル・ジェットの略。経済産業省が提唱した「環境適応型高性能小型航空機」計画に応じて三菱重工業が研究を開始、2003年5月に作業の推進が認められた。当初は30~50席級の旅客機が考えられていたが、世界の地域旅客機市場の動向などを踏まえて70~90席級機へと大型化された。07年10月9日に正式な顧客提案の開始を決定し、08年3月27日に全日本空輸の採用決定を受けて、翌28日に正式な事業化を発表、4月1日には事業を行う会社として三菱航空機を設立した。
エンジンにはプラット&ホイットニー・ピュアパワーPW1000G(旧称ギアード・ターボファン)を使用し、最新の空力設計などと合わせて低運航コストを実現する。また同級機で最も太い胴体を有し乗客の快適性を高めるとともに、高信頼性や環境適合性などにも重きが置かれている。MRJでは、標準客席数78席で1530~3380キロの航続力を持つMRJ70と、胴体を延長し92席を標準客席数として航続距離を1670~3310キロとする、MRJ90の2タイプが開発されている。また100席にするMRJ100Xの開発も検討されている。
しかしその後も様々な問題が発生して、当初13年引き渡し開始だったスケジュールが都合5度見直しが行われ、現在では2020年半ばになることが公表されている。なお17年12月にアメリカのイースタン航空が経営困難のため、MRJ90の確定発注20機とオプション20機の購入を維持できないと発表、のちに正式にキャンセルされ、これがMRJ初の発注取り消しとなった。18年3月時点での受注機数は確定発注213機、オプション契約170機、購入権4機。MRJ90が主体だが、これからタイプを決める発注もある。