航空自衛隊が導入を開始した新戦闘機F-35への搭載を考えているもので、ノルウェーのコングスベルクが開発した統合撃ミサイル(JSM)、アメリカのロッキード・マーチンが開発したAGM-158統合空対地スタンドオフミサイル(JASSM)、その対艦攻撃型であるAGM-158C長射程対艦ミサイル(LRASM)の3種が有力な検討対象である。
(1)JSMは、ノルウェーが自国で装備するF-35A用に開発を行っている空対艦ミサイル。同じF-35Aを装備するアメリカ空軍が戦闘機には対艦攻撃任務を付与しておらず空軍のF-35用の空対艦ミサイルがなく、一方でノルウェー空軍は対艦攻撃を戦闘機の重要な任務としていることから、独自に開発を行ったもの。小型のターボファン・エンジンを推進装置として、慣性航法装置とGPSで中間飛翔誘導を行い、最終段階では赤外線誘導により目標に向かう。射程は185キロで、オーストラリア空軍もF-35A用に導入を決めている。日本も航空自衛隊が、一部の戦闘機に空対艦攻撃任務を付与していることからF-35A用の空対艦ミサイルが必要で、JSMも候補に挙がっている。
(2)AGM-158 JASSMは、アメリカ空軍と海軍が共同で装備する戦闘機用の長射程空対地ミサイルで、F-35にも搭載できる。弾体の下に展張式の主翼を持ち、ターボジェット・エンジンを推進装置として使用する。中間飛翔誘導には慣性航法装置とGPSが使われて、終末誘導には赤外線を用いた目標自動認識機能により目標を捕捉してそれに向かう。射程は、標準型で370キロ以上、射程延伸型のJASSM-ERならば1000キロ以上とされている。
(3)AGM-158C LRASMは、JASSMの筐体や翼、エンジンを活用して開発された空対艦ミサイルで、基本的にはアメリカ海軍のスーパー・ホーネットおよびF-35C用の兵器となるものだが、海洋任務を付与される空軍爆撃機にも搭載される。寸法はJASSMと同じなので、F-35の兵器倉に収まる。中間飛翔の誘導方式もJASSMと同じだが、終末誘導にはレーダーが使われる。射程は約800キロ。