井戸型ポテンシャル構造で、井戸幅をキャリアのド・ブロイ波長(粒子性と波動性を結びつける考え方で、ド・ブロイによって提唱)程度より薄く(数十ナノメートル以下)した構造。主に一次元のキャリア閉じこめを行う量子薄膜構造を指す。ナノメートルオーダーの薄膜をバンドギャップ(禁制帯幅)の大きいバリア層で挟むように作製すると、電子は厚さ方向に量子化されてエネルギーは離散化し、状態密度は階段状となる。こうした電子の閉じこめによる特異な光学的・電気的性質を利用し、量子井戸レーザーや高速電子デバイスへの応用が行われている。また、さらに閉じこめ方向を増やした二次元構造が量子細線、三次元で閉じこめを行った構造が量子箱(量子ドット)である。