集積回路の金属配線に大電流を流すことによって、配線の金属原子が移動(マイグレート)し、断線など不良を引き起こす現象。金属配線の結晶粒界が集まる点は結晶学的に不安定なため、電子が5万倍以上重い金属原子に衝突して運動エネルギーを与え、移動させるというメカニズムが考えられている。
ちょうどバスに多数の蚊が勢いよく衝突してバスを動かすようなものである。当初アルミニウムを配線材料としていた時に顕著な現象が観測され、配線材料が銅に代わるきっかけともなった。現在では銅でも起こるとされており、ナノチューブなどへの材料の交代が起こることが予想されている。類似現象として、応力によって金属原子が動くストレスマイグレーションとよばれている現象も見いだされている。