物質に光を入射すると、電磁波の一種である光の電界により物質内に分極が発生するが、この分極作用は入射光が強くなると電界との比例関係が成り立たなくなってくる。このことによって生じる様々な現象を非線形光学効果と呼ぶ。ここで入射光電場Eと分極Pの関係をべき乗に展開すると、次の式で表すことができる。
P=ε0{χ(1)E+χ(2)E2+χ(3)E3+…}
ここでε0は真空の誘電率、χ(1)は線形感受率(または1次の電気感受率)、χ(2)は2次の非線形感受率、χ(3)は3次の非線形感受率と呼ばれるテンソル量である。χ(1)は光の吸収、反射、屈折、透過等の線形現象にかかわる量であり、χ(2)は光第2次高調波発生(Second Harmonic Generation ; SHG)や光和周波発生(Sum Frequency Generation ; SFG)に代表される2次の非線形光学効果の強さ、χ(3)は光第3次高調波発生(Third Harmonic Generation ; THG)や光双安定性現象にかかわる3次の非線形光学効果の強さを表す量である。
非線形光学結晶はLiNbO3等の非線形光学効果の大きい結晶であり、レーザー光の波長変換や光変調器などに用いられている(→「光導波路素子」)。