先を鋭くとがらせた金属針を試料表面の直近に配置し、一定電圧で針と試料間に一定のトンネル電流が流れるように針を上下させながら走査することで試料表面の形状を知る手法。トンネル電流は針の先端と試料間の距離の関数となり、針の上下方向の動きが試料表面の凹凸を表すことになる。試料はトンネル電流が流れる導電性の物質であれば特に制限はなく、針先の形状や試料表面の平坦性、清浄度にもよるが、通常は横方向分解能0.2nm(ナノメートル)程度、高さ方向分解能として0.01nm程度で測定可能で、原子、分子レベルでの表面構造が観測可能である。STMの応用として、トンネル電流の電圧依存性を測定する走査型トンネル電子分光法(STS ; scanning tunneling spectroscopy)は、局所的電子状態など表面状態分析が可能である。