圧電体(電界を加えるとひずみを生じ、ひずみが加わると電界を生ずる)の表面近くにエネルギーを集中しながら伝播する弾性表面波を利用した素子。表面波を電気的に励振・検出するため、圧電体基板上にすだれ状電極を作る。この素子は、用いる表面波の波長やその伝播速度が電磁波の10万分の1程度であるため、UHF帯からVHF帯での利用に適しており、テレビの中間周波フィルターや遅延線、共振器あるいはレーダーのパルス圧縮などに広く用いられている。小型で安価、量産性に富み、さらに調整の必要がないなどの特長がある。最近では、光と表面波の相互作用を利用した高機能素子として、実時間での信号処理が可能な光スペクトラムアナライザ(周波数分析器)、あるいは弾性表面波素子と半導体デバイスを同一チップ上に構成したような新しいタイプの高周波ICなど、素子の高機能化を目指して研究、開発が行われている。