レーザー光を走査したときに生じる試料の光効果を、何らかのセンサーでとらえて画像化するビーム探針型の顕微鏡。レーザー光の走査には、進行する超音波によるレーザー光の回折を利用する音響光学偏向素子(AO素子)が用いられる。普通の光学顕微鏡では解像度と焦点深度は相反する条件であり、このトレードオフが問題となるが、レーザー走査顕微鏡では試料の奥行き方向の情報も簡単に得られるので、応用が広がっている。たとえば、半導体の光励起電流をとらえるOBIC顕微鏡は大規模集積回路(LSI)の各部の動作を可視化できるし、蛍光染色した生物標本を対象とする蛍光顕微鏡では組織内部にある細胞を鮮明に観察することができる。0.2μm(マイクロメートル)以上の分解能が得られるようになり、1980年代に入ってから各分野で利用されるようになった。レーザー顕微鏡ともいう。